- 取締役濵田 一歩様
- 八戸水産高校卒。青森県下北、津軽海峡にて定置網漁業を営む。
消費者の方に大畑の魚を選んでもらえるようPR活動を行う。
趣味は漁港巡り・ドライブ・釣り。
大漁した時の感覚を味うのが大事
本日は下北で漁師のお仕事をされています、株式会社金城水産の濵田様にインタビューをしていきたいと思います!よろしくお願いします!!
よろしくお願いします。
本日は宜しくお願いします!
まず初めに今までのキャリアについてお聞きしたいと思います。出身や出身校などをお聞きしても宜しいですか?
はい。大畑出身になります。地元の小中学校を卒業し、高校は八戸の水産高校に行きました。その後、3年ちょっとぐらい東京に行きました。漁師になることは親の反対もありましたが目標があったので押し切りました(笑)
決断力が凄いですね!失礼ですが現在おいくつになるのでしょうか?
今は39歳です。
何年ぐらい漁師をされているのですか?
17年ぐらいかな…?
結構長いんですね!
気がついたらそれぐらい歳をとってました(笑)
普段どのように休日を過ごしていますか?
他の漁港とかに行ったり、船を見たりとかドライブみたいな感じですかね…。あとは友達と釣りに行ったりしています。特に趣味っていう趣味はないですね(笑)
漁師さんでも釣りはするんですね!いつもお仕事で漁をされていると思うので釣りはしないものだと勝手に思い込んでいました(笑) 漁師のお仕事を選んだキッカケってなんだったのですか?
親も漁師をしていましたし、小さい時から漁についていくのが好きだったんです。学校に行く時は全然起きれないんですけど…(笑) 漁に行くときは4時とか5時とかに目が覚めるんですよ(笑)
凄い分かります…(笑) 好きな事になると…(笑)
そうですよね(笑) パタパタ準備して…「シケだからついてくるな!」って言われてもついて行きました(笑) 幼稚園くらいから沖に行っていて、それでいつのまにか漁師の仕事、魚を捕るのが好きになっていたのがキッカケです。
キッカケを楽しく語る濱田氏
そんなに小さい時から行かれてたんですね!定置網漁をされていると聞いたのですが、どのような漁になるのですか?
網の壁にぶつかると、魚は深い方、沖側に逃げる習性があるんですね。その習性を利用した漁になります。
魚にはそんな習性があるのですね!?
そうなんです。決まった場所に網を仕掛けて、海の中に迷路みたいに網を張ります。そうすると習性どおり奥に逃げていくので、網の最終地点へ魚が溜まっていく感じになります。それを毎日網起こし、漁に行きます。
なんか私が想像してた漁とは違いました(笑)
知ってもらえて良かったです(笑) でも定置網漁って迷路なので、網に入ってくる魚もいれば、逆に出ていく魚が6~7割もいるって言われてるんです…。
なんかもったいないですね…。
でも自然保護の観点からはとてもいい方法なんですよ!他の漁…例えば巻網とかトロールという漁と違って、捕りすぎないという意味では自然にやさしいっていうところで注目を集めていたりします。さらには逃げられるってことは網の形とかの工夫次第でまだまだ水揚げの伸び代があるんじゃないかなって言われてる漁法になります。
その網の中にはどのような魚が入ってくるのですか?
今の時期だとヤリイカとかサクラマスがメインです。これから暖かくなってくるとブリとかサバとかが増えていって、秋になるとシャケとスルメイカがメインになります。その他にも一年を通してタコとかアンコウとか…色んな魚種が入ることが定置網の面白いとこですね!
いろんな魚が捕れて楽しそうですね♪
はい!実はマグロとかも入ったりするんですよ!さらにはイルカとかクジラとか…!
クジラ!?なんか怖いです(笑)
あとは韓国のプラスチック製のゴミとかも入ります(笑) とにかくなんでも入ります(笑) 網は一年間仕掛けておきます。夏場は潮が早くて流される危険があるので一度撤去するんですが、それ以外は一年中仕掛けています。
ホントに様々な魚?が捕れるんですね!(笑) 漁に出る以外では漁師にはどのようなお仕事があるのですか?
他の仕事というと、次の網の修理とか準備ですね。基本的に網を海の中に仕掛けていますが、漁以外はその次に入れる網の準備をしています。
網の準備ですか?
はい。一回海から網を上げれば、その網に海藻とかが付いているので、消防のポンプ車を一台持っているんですが、それを使って綺麗にしてから穴が空いているとこを修理したり、網に昆布とかがつかないように特殊な油に網を付けて乾かして完了です。
網のメンテナンスということですね!
その通りです!その後、今入れている網と交換してまた3ヶ月~半年ぐらいの期間で網を入れるっていう感じになります。
網や船の修繕費って年間でどれぐらいかかるのですか??
う~ん…年間で数百万円とか…ですかね。台風とかシケたりして大きく網が壊れたりしたら1000万とか…それぐらいかかっちゃいますね。それだけ網の修理に時間がかかります。家とかと一緒ですね、壊れた所を新しい部品に取り替えたりするので。
結構かかるものなのですね…
網と言っても漁に使う網は1セットで大体3,000万円とかですよ!(笑)
3,000万円!?
仮に新規で始めるとして、それを3箇所に仕掛けてるとなったら網だけでも1億とか…更に先程お話ししたように仕掛けている網を交換したりするのでスペアも用意となると×2で2億とかになりますね…。そういう世界なんですよ(笑)
額が違いますね…それで採算は合うのですか?
利益はなんとか経費削減したり、魚が捕れれば捕れるほど利益はあるし、乗組員の給料も増えるっていうのが漁師の魅力ですかね!
漁師の仕事をやっていく上で大変なことは何かありますか?
自然を相手にしてることですね。魚も生きるために必死だし、捕れるためにやれることは全部やるんですが、それでも予想もしなかった台風とかが来たりして、そのウン千万する網が一晩で全部壊れてしまったりとか…。今年狙ってる魚が、ちょっとした水温の関係で捕れなかったりとか、途方に暮れることもあります…。
自然の厳しさを語る濱田氏
実際に地球温暖化の影響で捕れる魚も変わってきていますか?
やっぱり違いますね。今テレビでもけっこう取り上げられていますがスルメイカがここ大畑でも全然捕れなくなってきています。スルメイカって言えば大体釣りで捕るイメージなんだけど、大畑の定置網の水揚げの半分はスルメイカが占めてたんですね。しかし、ここ2,3年は全然捕れなくなっています。
大変ですね…
けど悪い話だけでは無いんです!逆に今まで捕れなかった魚が捕れたり、シャケの値段が良かったりとか…他の部分で多少補えているのでまだ助かっています。なので温暖化の影響は良い部分も悪い部分もあるな、と感じています。
漁師として働いて良かったことはありますか?
単純に自分の捕った魚を食べて「うまい!」って言ってもらえることですね。生き物を捕って生活するっていう仕事って殆どないと思うんだけど…うまく言えないんですけど、そういう醍醐味っていうのかな。人間らしく生きれるってことが漁師をやっててよかったなって思ってます。
働いていて気を使っていることはありますか?
あー、やっぱりあれですかね。自然が相手だから「準備は徹底的にやる!」ってとこですかね。同じ仕事でも正確にやるのは当たりまえですが、効率よく短時間でおこなって時間を作ることを心がけています。そうすれば何かトラブルや思いがけない事があった時にすぐに動けますしね。
効率よく作業…大事ですね!では会社のPRをお願いします。
さっき見てもらった船かな!
船!めちゃくちゃカッコよかったです!!
ありがとうございます♪でもカッコよさだけでは無いんですよ♪
なにか秘密があるんですか!?
実は2年半前に水産省の儲かる事業っていう支援事業があったので、それを使わせてもらったんです。その時に船と網を新規で作って、新しい素材の改良網を作ったりとかしたんです。
そうなんですね!
設備も普通の船ならクレーンが1台なんだけど2台つけたりとか。後はここ2~3年で新発売された800万円ぐらいするシステムですね。潮の向きや水温、魚が入ってるかどうか24時間常に分かる画期的なシステムなんです。
最新鋭のシステムを見せて頂きました!
最新鋭!!響きからカッコいいです!(笑)
ありがとうございます(笑) なので、そういうこだわり抜いた最新鋭の自慢の船をまず見てほしいです!
今後の目標などはありますか?
現在も漁師は魚を捕るために色々努力しています。網を改良したりとか、入れるタイミングを考えたりとか…すでに試行錯誤しながら始めてるけど、これからは消費者に選んでもらう努力が必要だと感じています。
消費者に選んでもらう努力…?
例えばですが、大畑で捕れたマグロと大間のマグロが同じ値段で売ってたらどっち買いますか?大間のマグロ買いますよね?(笑)
えー…いや、はい(苦笑)
そうでしょ?(笑) そういう感覚が消費者には必ずあります。バイヤーから言われたことは全く同じでした。北海道と青森で同じ魚を並べた時に、都会の人は北海道の魚を買うみたいなんですね。
そうなんですか…
はい。実際は質も味も変わらないんです。しかし、ブランドとしての魅力が変わってきます。大間の漁師が龍飛でマグロを捕って大間産で売ります。大畑の漁師も龍飛に行ってマグロを捕って大畑産で売ります。でもモノは同じでも大間のマグロを選ぶんです。まぁ、自分もそうするんですけどね(笑)
なるほど…
そこで消費者に選んでもらう為に何をしたらいいのか色々動いているんですが、そういうPR活動とかに参加したりとか、大畑の魚はこうすれば旨い!っていうのを分かってもらう為に頑張っています。
そういう時はまず行動ですよね!
ホントにその通りだと思います。カブセンターさんとかガーラタウンさんにお願いして魚売り場で直接魚を売りに行ったりもしています。食べ方を教えるというか、提案ができる店作りを提案しています。魚屋でも飲食店でもいいですが、そういうのが提案できる店が出来たらいいなと思っています。少しずつだけど、消費者の方に大畑の魚を選んでもらえるようにするっていうのが今後の目標ですね。
素晴らしい考えだと思います!!では、地元に貢献してることや、これから貢献したいことはありますか?
最近で言えば、うちで捕ったイカを学校の給食に無償で提供しました。
無償ですか!?
はい。イカってサバに噛みついたりするんですが、最初はそういうサバとかを給食に使ってもらおうと思ったんです。そしたら今の給食センターって魚を捌いたりとかしないんだもんね(笑)
そうなんですか!(笑)
そうみたいです(笑) 例えばイカだったら、煮た状態のモノを味付けするだけとかみたいで…なのでサバはやめてイカにしました。給食センターに持ち込む前に地元のイカ加工場で一次加工してもらってます。
お金かかるんじゃないですか…?
いや、それがですね‥(笑) 同年代の加工場の人にこういう事やるから無償で手伝ってくれってお願いして…(笑) この取り組みは今回で4回目なんだけど、今年の1月には「イカカレー」という形で大畑の小中学校に無償で提供しました!
凄い良い取り組みですね!
この取り組みを最初は市の職員に掛け合ったんですが、ダメだったんですよ…でも絶対やりたいと思って、たまたまむつ市の市長が同級生だったので直接掛け合ったら次の日に「やらせていただきます」って電話来てすぐ動いてくれました!(笑) 持つべきものは友人ですね!(笑)
人の繋がりは大事ですね!
実際イカも捕れなくなっているし、親が漁師っていうのが少なくなってきています。その流れで魚を食べる機会が少なくなっているし、大畑は今は「海峡サーモン」とかが有名ですか、本来は「イカの町」なんだっていうことを広げる為、また、魚を食べる機会や味を分かってもらう為にそういうのもやってます!
地元愛ですね!ではその地元を盛り上げるために、したい事、もしくはしている事はありますか?
地元の人口も減っているし、若い人も居なくなったり少なくなってきている中で、ちょうど自分と同年代がまだ残ってるんですね。神社の息子とか、寺の息子とかいるんだけど…そういう仲間と集まって「海峡ロデオ」という町おこしというか…ちょっとしたイベントをやってみたりしてる事ですね。自分一人じゃ何も出来ないけど…人が集まれば…1+1=2ではなく3にも4にもなる感じで出来る事とか広がって増えていっています。
やはり「人」ですね!最後に、漁師を目指している方に一言お願いします。
もしかして漁師、目指してるんでしょ…大学卒業後に…(笑)
スカウトする濱田氏
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いや~…残念ですが違います(笑)
違うのか~、残念だな~(笑) これから漁師になろうとしている方にね…(笑)
はい(笑)
分かりました(笑) 漁師って今まではやっぱり家業ってイメージが強いと思うんですよ。家族に漁師がいなかったり、周りに漁師の友達がいなかったりすると、漁師っていうと少し敷居が高いというか…何してるか分からない人がたくさん居ると思います。けどホントに皆さんが思いつく仕事内容と一緒です。海で仕事をするだけであって、漁師も他の仕事と変わらないと思います。
今回話を聞いていてそう思いました!
漁師の面白さとか魅力としては、年間で240日くらい沖に漁をしに行きますが、239日不漁が続いても、240日目に大漁すれば今まで苦労したモヤモヤは全部吹き飛びます!それが漁師の醍醐味だと思います。その感覚が分かると漁師として1歩前進という感じです。
なるほど…
後は一攫千金というか、ずっと駄目でも、最後に大漁すれば疲れも全部吹き飛びますし、儲ける事も出来ます。もちろん仕事しているのですから儲ける事も絶対大事な事です。大漁した時の感覚を味わえれば漁師になって良かったと思うはずです。これからの皆さんの若いパワーに期待しています。
若いパワー…どんな仕事でも今の若い方のパワーは絶対大事ですよね!身近だけどベールに包まれていた漁師の詳しいお話しを聞けて大変勉強になりました!今後の濵田様のご活躍をお祈りすると同時に、大畑のお魚が全国にもっと羽ばたいていく日を期待しています!
ありがとうございます。頑張ります!
本日はむつ市大畑町にて漁師をしていらっしゃいます株式会社金城水産 取締役 濵田 一歩様のインタビューをさせて頂きました。ありがとうございました!!
最後は船の上でツーショット!みなさんもどんどん漁師を目指しましょう!本日はありがとうございました!
会社概要 COMPANY INFO
会社名 | 株式会社金城水産 |
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本社 | 〒039-4401 青森県むつ市大畑町大畑道27-3 |
代表者 | 取締役 濵田 一歩 |
事業内容 | 青森県下北、津軽海峡にて定置網漁業 |
URL | https://www.facebook.com/kinjohsuisan |